チーム制と交代勤務制を徹底解説|処置及び手術の休日・時間外・深夜加算その1、外科医療確保特別加算、地域医療体制確保加算2、【2026年改定対応】

処置及び手術の休日・時間外・深夜加算その1や2026年新設の地域医療体制確保加算2、外科医療確保特別加算を算定するには、届出を行う診療科ごとに施設基準を満たす必要があります。その中核となるのが「チーム制」または「交代勤務制」の導入です。
どちらを選ぶかによって、必要な医師数・勤務管理の方法・保管すべき記録の範囲が変わります。また2026年度(令和8年度)診療報酬改定では、チーム制に限定した要件緩和が行われており、現行との違いを正確に把握しておく必要があります。
本記事では主に「チーム制」と「交代勤務制」を中心に解説します。
(1)交代勤務制 全要件(2024年・2026年ともに変更なし)
交代勤務制はア〜キの全てを満たす必要があります。
ア 医師配置要件
当該診療科に常勤の医師が3名以上配置されていること。
これは「診療科全体の在籍常勤医師数」の要件です。夜勤に3名が必要という意味ではありません。3名未満の診療科は交代勤務制を選択できず、チーム制一択となります。
イ 夜勤配置要件
夜勤時間帯において、1名以上の医師が勤務していること。
交代勤務制では、常勤医師3名以上を確保した上で、夜勤シフトに1名を配置する体制を組みます。チーム制のような「緊急呼出し当番」の設置は不要です。
ウ 夜勤翌日の休日
夜勤を行った医師については、翌日の日勤帯は休日としていること。
チーム制のウ(緊急呼出し当番の翌日休日)と同じ考え方です。現場では「翌日の予定手術に影響する」という声もあり、実運用上の課題として指摘されている要件です。
エ 連続勤務時の条件
日勤から連続して夜勤を行う場合は、当該夜勤時間帯に2名以上の医師が勤務していること。また、夜勤時間帯に日勤から連続して勤務している者1名につき4時間以上の休憩を確保すること。
日勤→夜勤の連続勤務が発生する場合のみ適用される要件です。2名確保と4時間休憩の両方が必要であることに注意してください。
オ 夜勤時間帯の診療原則
原則として、当該診療科において夜勤時間帯に行われる診療については、夜勤を行う医師のみによって実施されていること。緊急呼出し当番を担う医師を置かなくても差し支えない。
ただし、同時に2列以上の手術を行う場合は、夜勤医師以外の医師が行ってもよい。その場合、当該医師は「当直等を行っている者」としては数えない。
交代勤務制の最大の特徴は緊急呼出し当番の設置が不要である点です。チーム制では当番医師の配置と管理が必要になりますが、交代勤務制では夜勤シフトの医師がそのまま対応する体制が認められています。
カ 記録の作成・保管(最低5年間)
交代勤務の勤務実績を少なくとも5年間保管すること。また、交代勤務制を導入している全ての診療科について、予定手術以外の手術一覧(術者および全ての助手の医師の氏名、手術開始時間・終了時間)を作成し、少なくとも5年間保管すること。
チーム制と異なり、緊急呼出しの実績一覧は不要です。予定手術以外の手術一覧のみが保管義務の対象となります。
キ 概要の報告
交代勤務制の概要を診療科ごとにとりまとめ、地方厚生(支)局長に報告していること。
(2)チーム制 全要件と2026年改定での変更点
チーム制は2026年改定でア・エの要件が変更されました。現行(2024年)と改定案(2026年)を対比します。
ア 緊急呼出し当番の人数【2026年改定:緩和】
現行(2024年) 休日・時間外・深夜において、当該診療科に配置されている医師の数が5名またはその端数を増すごとに1名の緊急呼出し当番を担う医師を置いていること。
改定案(2026年) 休日・時間外・深夜において、2名以上(当該診療科に配置されている医師の数が5名未満の場合は1名以上)の緊急呼出し当番を担う医師を置いていること。
従来は「医師10名なら2名」「医師15名なら3名」という比例計算でしたが、改定後は診療科の医師数にかかわらず**最低2名(小規模診療科は1名)**という絶対数の指定に変わります。大規模診療科にとっては緩和、小規模診療科には変化なしとなります。
イ 診療の原則(変更なし)
休日等において、当該診療科における診療が必要な場合は、原則として緊急呼出し当番または当直医(当該診療科以外の医師を含む)が行うこと。ただし、当該診療科において緊急手術を行う場合は、緊急呼出し当番以外の者が手術に参加してもよい。
ウ 緊急呼出し当番翌日の休日【2026年改定:選択制に変更】
現行(2024年)・改定案(2026年)ともに内容は同じ 夜勤時間帯に緊急呼出し当番を行った者については、翌日を休日としていること。ただし、夜勤時間帯に当該保険医療機関内で診療を行わなかった場合は、翌日を休日としなくても差し支えない。
2026年改定での変更点は内容ではなく「ウとエのどちらかを満たせばよい選択制になった」点です。
エ 勤務間インターバルの確保【2026年改定:新設・ウとの選択制】
現行(2024年):なし(旧エは「翌日予定手術を行う場合の扱い」で、2026年改定後はオに移動)
改定案(2026年):新設 夜勤時間帯に緊急呼出し当番を行う者については、医療法第百二十三条第一項に規定する特定対象医師(B・C水準医師)であるかどうかにかかわらず、特定対象医師について医療法第百二十三条第一項および第二項に規定するものと同様の休息時間(勤務間インターバル9時間および代償休息)を確保すること。また、特定対象医師については、同条第三項に規定するものと同様の休息時間を確保するよう配慮していること。
実務上の意味 従来のウ(翌日休日)は「診療があった場合に翌日を休日にする」という要件で、予め休日を組み込んだシフトを組む必要がありました。診療がなければ免除されますが、緊急手術が入った場合の翌日が予定手術日と重なるケースでの運用が難しいという現場の声がありました。
新設されたエは「翌日を丸ごと休日にする」代わりに「勤務間インターバル9時間を確保し、守れなかった場合は代償休息を付与する」という選択肢です。B・C水準指定の有無にかかわらず全医師に適用されます。
なお、経過措置として令和8年3月31日時点で加算1を届け出ている医療機関については、令和9年5月31日までの間、ウまたはエを満たしているものとみなす扱いとなっています。
オ(旧エ) 翌日の予定手術(変更なし・項番変更のみ)
夜勤時間帯において緊急手術を行った医師(術者および全ての助手)について、翌日の予定手術を行う場合は、当直等を行っている者として数える。
2026年改定でエが新設されたことにより、旧エがオに繰り下がりましたが内容は変わりません。
カ(旧オ) 記録の作成・保管(変更なし・項番変更のみ)
チーム制を導入している全ての診療科について、以下を作成し少なくとも5年間保管すること。
- 予定手術以外の手術一覧:術者および全ての助手の医師の氏名、手術開始時間・終了時間
- 緊急呼出しの実績一覧:実際に院内で診療を行った全てのケースを含む。診療を行った医師の氏名、院内での診療開始時間・終了時間
交代勤務制にはない「緊急呼出しの実績一覧」がチーム制には必要です。これが手術時刻・担当医師の記録を日常業務として正確に蓄積することが求められる主な理由になっています。
なお、これらの記録は医療法第123条第1項・第2項に基づく勤務間インターバルおよび代償休息の管理根拠にもなります。緊急手術の開始・終了時刻の記録は、施設基準と働き方改革対応の両方を兼ねた重要な情報です。
キ(旧カ) 概要の報告(変更なし・項番変更のみ)
緊急呼出し当番の方法等に関する概要を診療科ごとにとりまとめ、地方厚生(支)局長に報告していること。
交代勤務制とチーム制の選択ポイント
比較項目 | 交代勤務制 | チーム制 |
|---|---|---|
必要な在籍常勤医師数 | 3名以上(必須) | 制限なし |
夜勤配置 | 夜勤1名以上(シフト制) | 緊急呼出し当番を設置 |
緊急呼出し当番 | 不要 | 必要(2026年〜:2名以上または5名未満なら1名以上) |
翌日の休息管理 | 夜勤翌日は休日 | 翌日休日または勤務間インターバル(2026年〜選択可) |
5年保管が必要な記録 | 勤務実績+予定外手術一覧 | 予定外手術一覧+緊急呼出し実績一覧 |
向いている診療科 | 常勤医師が十分いる大規模診療科 | 医師数が少ない外科系診療科 |
常勤医師が3名以上確保できる診療科であれば交代勤務制が記録管理の面でシンプルです。しかし、緊急呼び出しの要件が緩和されたチーム制の方が臨床現場の実態に即しており、現実的な選択肢になるのではないでしょうか。一方で、記録管理は交代制勤務と比較して煩雑です。
手術時刻・担当医師の記録管理をどう運用するか
チーム制・交代勤務制いずれを選んでも、予定手術以外の手術一覧(開始・終了時刻と術者・助手の記録)の5年間保管が求められます。チーム制では加えて緊急呼出し実績一覧も必要です。
紙の手術記録やExcelでの手動集計では、時刻の記入漏れ・転記ミスが発生しやすく、5年間の保管義務に対応することも難しくなります。また、医師個人単位での当直回数の管理(年間4日以内・連続4回以内)は日常的な集計が必要です。これらの記録をどのように日常業務に組み込むか、体制整備を早期に検討しておくことが重要です。
記録管理をどう運用するか
チーム制・交代勤務制いずれを選んでも、予定手術以外の手術一覧(開始・終了時刻、術者・助手の記録)の5年間保管が求められます。チーム制では緊急呼出し実績一覧も必要です。電子カルテ内の手術記録や紙やエクセルの緊急呼び出し表、口頭や電話での緊急呼び出しなど、バラバラな管理に依存している場合、加算漏れやエビデンス不十分な状況が発生しやすく、保管義務に対応することも難しくなります。
OpeOneシリーズは、外科系チーム医療に特化した手術情報を含む業務データ管理システムです。手術実績、勤務体制、担当医師の健康確保に関して一元管理することで、加算管理の課題に直接対応できます。
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OpeOneで実現できること
- チーム医療DX:実態のあるチーム医療のログ
- 勤務体制の管理:診療科のチーム体制や緊急呼び出し当番の情報管理
- 担当医師の業務記録:該当手術を担当した医師とその後の業務状況の把握
- 医師・各部署への支給に関する伝達:情報連絡の漏れ・ミスを防止
→ チーム制や健康確保管理についてのお問い合わせ・デモはこちらのお問い合わせフォームからお願いします。
まとめ
チーム制と交代勤務制の主な違いは以下の3点です。
第一に、医師数の要件。交代勤務制は診療科全体の在籍常勤医師が3名以上必要ですが、チーム制には人数制限がありません。
第二に、緊急呼出し当番の有無。交代勤務制では不要ですが、チーム制では設置が必須です。2026年改定で当番数の要件が緩和され、小規模診療科でも届出しやすくなりました。
第三に、記録の範囲。交代勤務制は手術一覧のみですが、チーム制は緊急呼出しの実績一覧も必要です。この記録は2026年改定で新設された勤務間インターバル(医療法第123条第1項・第2項)の管理根拠としても兼用できます。
2026年改定への対応として、チーム制を届け出ている医療機関はウ(翌日休日)とエ(勤務間インターバルまたは代償休息)のどちらを採用するか、勤務実態に照らして確認しておくことが重要です。
加算ナビWebinarの御案内
日時
2026年4月13日 16時-
2026年4月15日 16時-
2026年4月17日 16時-
概要
2026年診療報酬改定における手術に関わる診療報酬加算制を解説します。
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「外科医療確保特別加算」
「地域医療体制確保加算2」
【登壇者】
- ささがさん(@sasaga012):診療報酬改定に精通したX人気投稿者
- 大谷隼一(株式会社クオトミー代表取締役・整形外科医)
【内容】
- 2026年改定の手術
- 医師への手当・チーム制について
- 必要な要件・仕組みづくり
- 参加者Q&A
参加者全員に収録動画URLをプレゼントします。
主催:株式会社クオトミー(OpeOne運営会社)
