処置及び手術の休日・時間外・深夜加算その1とは?2026年改訂における施設基準・届出要件と記録・管理の実務

処置及び手術の休日・時間外・深夜加算その1とは
処置及び手術の休日・時間外・深夜加算には「その1(加算1)」と「その2(加算2)」の2種類があります。加算2は届出不要で多くの病院が算定できる一般的な加算ですが、加算1は厚生労働大臣が定める施設基準を満たした医療機関だけが算定できる、より高い評価の加算です。
対象は手術点数1,000点以上の処置・手術です。
加算の基本情報
区分 | 加算1 | 加算2 |
|---|---|---|
休日 | 所定点数×1.6(合計2.6倍) | 所定点数×0.8(合計1.8倍) |
時間外 | 所定点数×0.8(合計1.8倍)※入院外患者のみ | 所定点数×0.4(合計1.4倍) |
深夜 | 所定点数×1.6(合計2.6倍) | 所定点数×0.8(合計1.8倍) |
2022年・2024年・2026年改定で何が変わったか
この加算の施設基準は、2022年と2024年の2度にわたって見直され、2026年が3度目の改訂となります。医療機関が特に把握しておくべき変遷は以下のとおりです。
2022年改定:管理単位が「診療科全体」から「医師個人」へ
改定前は、手術前日の夜勤時間帯に当直・夜勤および緊急呼出し当番を行った日数が「診療科全体で年間12日以内」であることが要件でした。しかし特定の医師に負担が偏る状況が問題となり、改定後は「当該診療科の各医師について年間4日以内」に変更されました。
同時に、「2日以上連続で夜勤時間帯に当直を行った日数が年間4回以内」という連続当直の上限も新たに要件化されました。
この変更により、診療科全体では要件を満たしていても、特定の医師に当直が集中している場合は施設基準を満たせない状況が生まれました。医師個人単位での勤務記録の把握が必須になっています。
2024年改定:「交代勤務制またはチーム制」 + 「外科医への手当支給」が絶対要件に
2024年度改定では「時間外等の手当等を外科医に支給することを確保する」ことを目指した見直しが行われました。具体的には、休日・時間外・深夜に手術を行った医師に対して、通常の当直手当等とは別途の手当を支給し、就業規則に記載した上で地方厚生局に届け出ることが要件化されました。
なお、2024年3月31日時点で加算1を届け出ていた医療機関については、2026年5月31日までの経過措置が設けられており、その間はいずれかの施設基準を満たせばよいとされています。経過措置期間中であっても、2026年6月以降を見据えた体制整備を今から進めておく必要があります。

2026年改定:「チーム制」の緊急呼び出し当番後には勤務インターバルまたは代償休息を
チーム制では、緊急呼び出し当番の勤務をした医師に対して翌日を休日とする要件でしたが、現実的には難しいことが多く、改正の論点となっていました。
特定対象医師(※)であるかどうかにかかわらず、特定対象医師について医療法第123条第1項・第2項に規定する休息を確保すること、特定対象医師については同条第3項に規定するものと同様の休息を確保するよう配慮していること、も選べるようになりました。
医療法第123条の各項は、医師の働き方改革で定められた「追加的健康確保措置」を規定しています。医療法第123条第1項は「勤務間インターバル(9時間の休息確保)」、第2項は「インターバルを守れなかった場合の代償休息確保」で、ともに義務規定です。第3項は特定宿日直勤務中に労働が発生した場合の「休息確保への配慮義務」です。
※特定対象医師とは
B水準・連携B水準・C水準が適用される医師のことで、年間の時間外・休日労働時間の上限が1,860時間となっており、非常に長い時間外・休日労働が可能となっています。
また、2026年から緊急呼び出し当番医師数が下記のように緩和されています。
当該診療科に配置されている医師の数が5名又はその端数を増すごとに1名の緊急呼出し当番を担う医師を置いていること。
→2名以上(当該診療科に配置されている医師の数が5名未満の場合は1名以上)の緊急呼出し当番を担う医師を置いていること
加算その2でいると、収益にどれだけ影響するか
施設基準を満たせず加算1ではなく加算2で算定し続けると、1件あたりの手術ごとに加算率の差が収益に直結します。
例として、手術点数が10,000点(10万円相当)の緊急手術が深夜に行われた場合を比較します。
加算1(深夜) | 加算2(深夜) | 差額 | |
|---|---|---|---|
加算点数 | 10,000点×1.6=16,000点 | 10,000点×0.8=8,000点 | 8,000点 |
金額換算(10円/点) | 16万円 | 8万円 | ▲8万円/件 |
緊急手術が月に10件あるような診療科であれば、月間約80万円、年間では約960万円の収益差(1診療科あたり)になります。手術件数が多く、休日・深夜の緊急対応が多い診療科を擁する急性期病院ほど、加算1の取得可否が病院経営に与えるインパクトは大きくなります。
もし、加算1と加算2の差額、1診療科あたり年間約960万円を「その分、別の売上で補う」と考えると、どれだけの規模感になるか。
2024年度の民間病院の営業利益率平均はマイナス1.76%と、過去20年で最悪水準です。 黒字病院に限っても利益率は数%程度にとどまります。
仮に利益率を1%と置いた場合、年間960万円の損失を他の収益で補うには:
利益率の仮定 | 必要な追加売上 |
|---|---|
1.0%(黒字病院の薄利モデル) | 約9億6,000万円 |
3.0%(比較的健全な病院) | 約3億2,000万円 |
5.0%(優良病院) | 約1億9,200万円 |
多くの病院では「加算の取りこぼしを売上増で補う」という発想自体が非現実的です。加算の正確な算定こそが、最も費用対効果の高い収益改善策といえます。
加算管理の難しさ
2024年の改定時、増収となる加算1の取得病院は増えなかったという日本外科学会からのアンケート結果があります。
その背景には、施設基準の要件——特に医師個人単位での業務記録管理、チーム制やインターバルなどのエビデンス、該当手術の術者・時間などの記録の照合——に対応しにくいことがあげられそうです。

届出・更新に必要な準備
加算1の届出および更新時に提出・保管が求められる主な書類と記録は以下のとおりです。
届出時に提出するもの
- 加算1を算定する診療科の届出書
- 医師の負担軽減・処遇改善に資する計画(委員会での審議・院内掲示が必要)
- 時間外手当等の支給内容を記載した就業規則の写し
- チーム制を導入する場合:緊急呼出し当番の方法等に関する概要(診療科ごと)
日常的に作成・保管が必要な記録(最低5年間)
チーム制を導入している診療科については、以下の一覧を継続的に作成・保管する義務があります。
- 予定手術以外の手術一覧:術者・全助手の医師氏名、手術開始時間・終了時間
- 緊急呼出しの実績一覧:診療を行った医師の氏名、診療開始時間・終了時間
なお、チーム制を届け出た診療科の場合、翌日休日または勤務間インターバル(守れなかった場合の代償休息)などの健康確保管理の根拠が必要です。
また施設基準の維持には、医師個人ごとの以下の管理も継続して必要です。
- 手術前日の夜勤時間帯当直回数(各医師、年間4日以内)
- 連続当直回数(各医師、年間4回以内)
手術や業務実績記録の管理にOpeOneを活用する
上記の要件を満たすためには、複数のツールに存在する記録を日常業務の中で正確に蓄積する仕組みが不可欠です。
電子カルテ内の手術記録や紙やエクセルにある緊急呼び出し表、口頭や電話での緊急呼び出し実績など、バラバラな管理に依存している場合、加算漏れやエビデンス不十分な状況が発生しやすく、保管義務に対応することも難しくなります。
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OpeOneで実現できること
- 該当手術情報の記録:加算に該当する手術を自動で抽出
- 勤務体制の管理:診療科のチーム体制や緊急呼び出し当番のエビデンス
- 担当医師の健康確保:該当手術を担当した医師とその後の休息状況の把握
→ チーム制や健康確保管理についてのお問い合わせ・デモはこちらのお問い合わせフォームからお願いします。
まとめ
処置及び手術の休日・時間外・深夜加算その1は、改定を経て施設基準が段階的に厳格化されています。特に「チーム制の改訂」がポイントで、翌日休日が難しい場合はインターバル(9時間)および代償休息の管理が必要になってきます。加算2のままでいることによる収益差は手術件数に比例して大きくなるため、施設基準を満たせるかどうかの現状確認と記録体制の整備を早期に進めることが重要です。
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日時
2026年4月13日 16時-
2026年4月15日 16時-
2026年4月17日 16時-
概要
2026年診療報酬改定における手術に関わる診療報酬加算制を解説します。
【関連する加算】
「処置及び手術の休日・時間外・深夜加算1」
「内視鏡手術用支援機器加算」
「外科医療確保特別加算」
「地域医療体制確保加算2」
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【内容】
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